最低限、「何時間、眠ればいい」のか?

「質」が大事とはいっても、いい睡眠は「時間」と「質」の掛け合わせですから、もちろん何時間眠ったかも重要です。

 ただし、先ほど述べたショートスリーパーだからといって不健康というわけではなく、睡眠時間が短めでも疲れがとれている人はいくらでもいます。

 それでも、理論的には最低5時間は眠らないと疲労回復には不十分です。

 その根拠は睡眠のメカニズムにあります。

 ヒトの睡眠には2種類あり、一つが「浅い眠りのレム睡眠」、もう一つが「深い眠りのノンレム睡眠」です。ノンレム睡眠では、脳も休息モードに入ります。

 ヒトはノンレム睡眠のステージⅠから眠り始め、1時間ほどでステージIVの一番深い眠りに至ります。そこから少しずつ眠りが浅くなり、眠り始めて90分ほどでレム睡眠に切り替わります。その後は、またノンレム睡眠になり、約90~100分後に再びレム睡眠が現れます。

 これを周期的に繰り返して目覚めるというのが普通のパターンです。

 脳がしっかり休めるのはノンレム睡眠のステージIIIかIV。脳の自律神経の中枢の疲労をとるには、この状況が3回は起こっていることが必要なのです。

 このように90分×3回、ベッドに入ってから睡眠に至るまでの時間を含めて最低5時間寝ればショートスリーパーでも大丈夫です。逆にいうと、これが最低限「疲れ」をとるために必要な睡眠時間ということです。