とはいえ、リンクルショット発売前からポーラ・オルビスHDの業績は良好だった。その背景には、創業者の孫で、ポーラ化粧品本舗(現ポーラ)社長を経て、ポーラ・オルビスHD社長に就任した鈴木郷史氏ら、マネジメント層の経営改革がある。

 11年以降、基幹ブランドのポーラとオルビスの原価改善を徹底した。「収益改善、いわゆる真面目な経営」(橋直孝ポーラ・オルビスHDコーポレートコミュニケーション室IR担当課長)を貫いたのだ。

 商品開発、リニューアルのたびにパッケージ、内容物などを見直した。同時に販管費の伸びを抑えた。15年12月期以降はインバウンドの恩恵もあり、営業利益率は瞬く間に伸びた(図(2))。

 ポーラ・オルビスHDの売り上げ計上は消費者が購入する際のリテール価格基準。他社は卸などに出荷した時点の価格を基準とする。他社が仮にリテール価格基準で売上高を計算し直すと、現状の決算書の売上高より数字が大きくなる。

 営業利益率の計算式は「営業利益÷売上高」なので分母が大きくなれば当然、営業利益率は小さくなる。よって、図(2)のポーラ・オルビスHDの営業利益率には、数字以上の価値があるといえる。

 改革の象徴の一つといえるのは、若年層を取り込む原動力となった店舗「ポーラ ザ ビューティー」。05年から展開し、16年末で647店まで拡大した。新たなルートを築く一方で、歴史あるポーラレディ(現ビューティーディレクター)を16年に少数精鋭化し、13万人から4万人まで絞り込んだ。

「これまでは地味でつまらない会社だった」とはある業界関係者。だが大胆な変革を掲げ実行する様に「経営陣が目指す『面白いことをやっているねと言われるような会社』になってきている」(前出の業界関係者)。

 快調故、株価はうなぎ上り。10年の上場以来の最高値を更新し続けている。