その後は検査の実用化をめざして、日立と連携した。

 自動解析装置の開発に取り組み、今年4月には「2020年1月には実用化できるメドが立った」と公表し、大きな期待を寄せられている。

「日本は他の先進国に比べて、がん検診の受診者が少ないことが問題になっていますよね。集団検診では20%ぐらいしか、がんを発見できませんし、精密検査は高額で面倒、また痛みや苦痛が伴ったりする。安価で簡単に、しかも100%近い確率でがんの有無がわかれば、がん検診の在り方は大きく変わるでしょう。まずは線虫がん検査を受けて、陽性(がんがある)の判定が出たら、より詳しく分かる検査を受ける、という流れを作りたい。

 今日本には、がん年齢と呼ばれる人が6000万人いますが、その方々に年一回は受けてもらえるような検査にしたいと思っています。さらに、がんは人類共通の脅威でもありますから、近い将来、N-NOSEは世界的に注目されると確信しています」

 世界のがん医療に革命をもたらすに違いない検査だけに、共同臨床研究も鹿児島南風病院、四国がんセンターと既に始まっているほか、全国31施設の病院、大学でも連携の話が進められている。また、全国での地域解析センターの設置、検体の輸送方法確保等、日立以外の大手企業との連携も着々と進行中だ。
 そんなプロジェクトを悪用し、金銭をだまし取ろうとしているのが冒頭のようなニセモノ線虫がん検査である。

 配置薬業者のほか、美容室、クリニック、WEBサイト等で宣伝しているほか、大手通販サイト等を通して販売も行っている。

 繰り返し、強調しておくが、線虫がん検査は、まだ実用化されていない。また仮に、この団体が、「N-NOSEと同じ検査ではない」線虫がん検査の研究開発を行い、世に広めようとしているのだとしたら、それは九州大学と広津氏に対する特許侵害であり、違法ということになる。