風の吹くところに立てば、
豚だって飛べる

 自らの思いを言語化し終わったあとは、事業機会(マーケット)に照らし合わせて事業コンセプトを考えていくことになる。事業コンセプトを考えるにあたって重要なのは、時流を丁寧に見極め、きちんと波に乗ることだ。事業の成功の9割はこれで決まるといっても過言ではない。

 15年ほど前に福山雅治がラジオ相談に「成功するコツは?」と聞かれて「波にのること」ときっぱり言い切っていたのを聞いた。彼はその後も一線で活躍し続けている。また、創業5年で売上1兆円を達成したIT企業のXiaomi(シャオミ)の創業者の名言として「風の吹くところに立てば、豚だって飛べる」というものがある。彼は、モバイルインターネットの流れに乗って成功を収めたのだ。何十社もの起業を成功させた事業家・投資家は、事業の成功を決めるのは「市場の選択とタイミング」だと断言している。

 押さえるべき時流はどの流れでもよい。本章では大きく政治(Politics)、経済(Economics)、社会価値(Social Value)、技術(Technology)の4つの観点から、事業機会について説明する。この4つは頭文字を取ってPESTと訳され、よく使われるフレームワークである。図5は10年前の事例だが、フレームワークとしては現在も有効なので自社で試してほしい。

時流を見極めれば「豚」だって成功する<br />起業に必要な事業コンセプトの考えかた図5 PESTと事業創造の可能性
拡大画像表示