大手コンビニ各社が年末年始に向けて高額商品の販売に乗り出している。
ローソンは9月下旬、3万円という高額なおせちを500個限定で予約販売したところ、店頭告知のみだったにもかかわらず、わずか10日で完売してしまった。
昨年から始めた、2000個限定の高級クリスマスケーキ(1万500円)の予約数も、「昨年比3割増の勢いで、完売は間違いない」(ローソン)という。
今年はさらに高級シャンパンのドンペリニヨンも2万1000円で販売し始めた。
セブン-イレブン・ジャパンでも、今年は3万1500円のおせちを1万4000個限定で販売する。昨年の最高値商品は2万1000円だから、こちらも1万円のアップとなる。
クリスマスケーキも1万円の商品を発売する。昨年の最高値商品は4200円だったので、一気に倍以上の価格となる。
加えて、年末のお歳暮ギフト用として2万4500円の松阪牛フィレステーキ(390グラム)も取り扱い始めた。
高額商品を相次いで発売する背景の一つは、昨年来の“節約疲れ”“デフレ疲れ”による高額商品需要の高まりだ。
さらに今年は東日本大震災によって「家族の絆」が注目されたこともあり、“家ナカ需要”が高まる可能性が高い。
ローソンでは今秋、期間限定でザッハトルテ、サヴァラン、パリブレストなどの洋菓子を発売。395円と高額ながら、高級洋菓子屋と同じ原料を使うなど、品質にこだわったことで、人気を博した。
ファミリーマートでは昨年9月に「おとなコンビニ研究所」を立ち上げ、比較的高額で高品質な商品を販売。今年7月に一本5000円の「ぺ・ヨンジュン バースデーワイン」の予約を始めたところ、わずか3日で7800本が完売した。
「高額でも価格に見合う商品であれば顧客の反応は良い」(セブン-イレブン)
特に女性、高齢者層のコンビニ利用が増えつつある中、これまでに増して商品企画力の強化が重要な課題となりそうだ。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 松本裕樹)