例えば、家族の中だけでは、ルールは変わらない。内側の発想で、何かをやろうと思っても、変えれば変えるほど堂々巡りで、同じ結果になる。

 3・11の震災が起きた後、部屋から出てきた当事者に、家族が「スーパーマーケットが食糧を時間制限で売り出すので、並んでくれないか」とお願いしたら、その後も、買い物などに行けるようになった。給水車の給水の行列にも、並んでくれるようになった。

 このように、たまたま変化が起きたケースもある。

 震災は、電気や水道、ガスなどのライフラインを止めたことによって、家族や社会とのコミュニケーションの機会を増やした。

 しかし、家族間でコミュニケーションが多くなるだけでは、ダメ。家族や社会の役割が変わることが、ルールを変えて、それが変化と関係してくるという。

 もちろん、いつも家族が下手に出ている場合は、その逆になるケースもある。

「カウンセリングは、パラドックス」

 と、若島氏は言う。大事なのは、この変化の原理を知っておくことなのだ。

「ブリーフセラピーは、なぜ外に出られないの?という理由を探って、本人を追及しても、意味がない。本人がその理由を自覚できたとしても、外に出ることはできない。自分が外に出られない理由を説明することと、実際に外に出られることとは、ほぼ無関係といっていい。私たちは、何が起こっているのかに興味があるのです」(若島氏)

 若島氏がスーパーバイザーとして関わっているNPO法人「メンタル・コミュニケーション・リサーチ」(MCR)では、こうした引きこもりや不登校への支援・サポート活動を続けてきて、「8割以上が良くなって、社会に戻っている」と説明する。

「ただ、私たちは皆、仕事を持っていて、助成金をもらっていないので、活動は会費で運営しています」(若島氏)