阪神大震災とは異なる3・11の震災
変化を捉えて行動しなければ厄介な事態にも

 3・11の震災によって、すべてのシステムが崩壊した。しかし、人々の結びつきは強くなり、老いも若きも、富める者も貧しき者も、皆が協力し合って、特別な状況が出現したともいえる。

 これまで積み上げてきたものは、意味がない。「阪神大震災のときとは、状況が違う」と、東日本大震災の被災地に入った多くの専門家は言っている。

「時代が変わったのか。この東北では、地域として、大きな目で見ているような感じがします。だから、阪神大震災を経験したような人が来ると、ややこしいことになっているのです」

 マスメディアの報道では、PTSDという言葉が言われているが、実際は、PTSDの人があまりいなかったということも、多くの専門家は指摘している。

 津波が来ると知っていても、逃げられなかったケースがある一方で、学校が避難所になっていて、不登校だった子どもの友人関係が復活し、学校に通えるようになったという話もある。

 この変化の原理を知った上で、いまも被災地で起きていることを1つ1つ、見守り続けていこうと思う。


拙書『ふたたび、ここから―東日本大震災・石巻の人たちの50日間』(ポプラ社)が発売中。石巻市街から牡鹿半島の漁村まで。変わり果てた被災地を巡り、人々から託された「命の言葉」をつづるノンフィクションです。ぜひご一読ください。