恐ろしい「育児労働」の経済価値

 ところで、前記の数字は、子どもがいない前提のものであって、子どもが生まれて、育児の負担が全面的に妻にかかる場合の損得勘定は、夫にも、妻にも、「恐ろしい」ものになっている。

 詳しくは、先の書籍を是非読んでいただきたいが、ドラマの設定を延長して主人公夫婦が未就学児童を持つ場合に、夫が専業主婦の妻に給料(月37万1336円)を支払うためには手取り年収で891万円、税引き前の年収は約1247万円必要だと是枝氏は試算している。

 また、是枝氏は別の前提条件で、夫の年収別に「妻が専業主婦の場合のフェアな夫の家事・育児分担割合」を求めており、年収400万円の場合は32.5%、600万円の場合で24.5%、800万円の場合は18.0%などと計算している(前掲書146ページ。夫婦合計の家事育児労働時間を69時間、妻の労働の1時間当たりの機会費用を1383円で計算)。

  ちなみに、高額所得者も少なくないダイヤモンド・オンラインの男性読者のために、夫のフェアな家事・育児分担比率がゼロになる年収をご紹介すると、1400万円以上となっている。

 もっとも、年収が1400万円以上だからといって、家事負担をゼロとして妻に「ワンオペ育児」を押しつけることは、読者にお勧めしかねる。理由は詳しく記さないが、その方針には「非常に高くつく!」リスクがある。

 未婚既婚を問わず、多くの男性読者は是枝氏の試算を「恐ろしい数字」だと受け止めるかもしれないが、これは見方を変えると、家事の分担には年収の不足を補う効果があるということだ。年収が400万円であっても、「家事の3分の1は僕が負担します」と言い切れるなら、堂々と意中の人にプロポーズできるということなのだ。