人口4700人に輝く「不思議な光景」

 それを実際の店舗でやっているのが、宮城県仙台市秋保町にある「主婦の店さいち」である。
 住所は「仙台市」となっているものの、JR仙台駅からは車で30~40分かかる、人口4700人程度の小さな町だ。

 僕もまだ天狼院書店をオープンさせる前に訪れたことがあるが、仙台駅に集合し、そこから車に乗って結構かかった覚えがある。

 繁華街から遠ざかるに連れて、車の外は山となっていき、不安な募るほどの立地である。商売をやろうとするとき、正直、僕なら決して選ばない場所である。

 ところが、「さいち」付近に至ると、不思議な光景を目にした。

 そんな過疎地なのに、「さいち」の駐車場の前には警備員が配置されていたのだ。
 しかも、警備員の話によると、僕らの乗せた車は、店の前の第一駐車場には停めることができず、もっと坂道の先にある第二駐車場になら停められるだろう、とのことだった。

 どういうことか、耳を疑った。
 過疎地の小さなスーパーに、なぜ、そんな人が集まってくるのか。

なぜ、おはぎが1日2万個以上売れるのか?

 秋保自体の人口は、5000人に満たない。
 それなのに、毎日5000個以上のおはぎが売れ、多いときには1日2万個以上売れてしまうという。

 それは、秋保以外からも、遠路はるばる、「さいち」にきている人がいるということだった。
 その証拠に、駐車場に停められている車を見ると、他県ナンバーも多くあった。

 しかも、店の大きさは、思っていた以上に小さい。同じ宮城県にはウジエスーパーやJAが運営するAコープなども数多くあるが、それよりも小さい。コンビニをひと回り大きくしたようなサイズだった。
 ここに、人が押し寄せている!