「日本の財政は、いつかは破綻するから、長期国債が満期に償還されることはないだろう。しかし、満期前に誰かに売り抜ければ大丈夫だ」といった考え方もあるだろう。多くの投資家がそう考えているとすれば、それは不健全で危険な状態であると言えるかもしれないが、筆者は楽観的に考えている。

 投資家たちは、「当分の間保有していたが、状況に変化がないので、さらに当分の間国債を保有し続ける」という行為を、永遠に繰り返すことになるからだ。そうなれば、結局は投資家たちの予想は良い方に外れて、長期国債は無事に償還されるのである。

「財政赤字が巨額で財政が破綻しかねない時に、皆が国債を買っているのは不健全で危険」と思われるかもしれないが、投資家たちが「当分の間」を繰り返している間に事態が好転していくかもしれない。

 例えば、いつの日か大増税が行われて事態が改善する可能性も決して小さくない。租税負担と社会保障負担の合計額が国民所得に占める比率を示す「国民負担率」は、欧州諸国を大幅に下回っており、いつか欧州諸国並みになる可能性は決して小さくない。今後、少子高齢化による労働力不足が深刻化して行けば、「増税をして景気が悪化しても失業が増えない」経済となり、「労働力不足を緩和するため、増税により少し景気を悪化させる必要がある」といった状況が出現することも十分想定されるからだ。

投資家が買わなくなっても
実は大丈夫な理由

 数年以内に国内投資家が日本国債を買わなくなることは考えにくいが、例えば30年後といった遠い将来であれば、可能性は皆無ではない。「ドルを買ってドルが値下がりするリスクよりも、日本国債が暴落するリスクの方が大きい」と国内投資家が考え始めれば、そうなる可能性がある。そうなっても財政は破綻しないのだろうか。実は、大丈夫なのである。紙幅の関係で詳述は避けるが、そうなった時には、ドルが高騰して国債が暴落しているので、政府が外貨準備を売って国債を買い戻せばよいのである。


 本題とはそれるが、国債市場が不健全で危険だとすれば、それはインフレになって金利が上がる可能性を織り込んでいないことだろう。40年国債の利回りが1%前後であるのは、どう考えても危険ではなかろうか。さすがに40年以内には、必ずインフレがきて金利が上昇し、国債価格が下落するであろう。それなのに、長期国債を現在のような高値で買っている(=現在のような低利回りの長期国債を買っている)のは、いかにも不健全だ。

 とはいえ、20年前に20年国債の金利を見て、「どう考えても不健全だ」と思ってしまった(結果としては、インフレにはならず、長期金利はさらに低下した)筆者としては、今後40年間インフレがこないという可能性も完全には否定できないが…。

(久留米大学商学部教授 塚崎公義)