クルマづくりがコミュニティを生み
社会をも変える

──街を変えたいというのは、つまりは人々の生活を変えたいということなんですね。

 そうですね。モノづくりを通じて、コミュニティの在り方も変えたいと思っています。僕は、いわゆるコーポラティブ住宅と呼ばれる、入居予定者が建設組合を作って建てたマンションに住んでいます。一緒に建物を建てたおかげで、そこには昔の長屋みたいなコミュニティができていて、お隣同士で醤油の貸し借りとかが自然と起こったりする。自動車でもそういうことがやりたいんです。

トヨタが9月に発表した「GR」  Photo:つのだよしお/アフロ

 プラモデルメーカー「タミヤ」の直営店には、購入したミニ四駆をその場で走らせることができるコースが用意されていて、パーツを買って改造したりしながら老若男女が交流するコミュニティが生まれています。

 例えば、自動車も作る過程でコミュニティを作って、ユーザーが参加するやり方はきっとあるはず。使うところまで含めて、地域ごとに地産地消するようなやり方もいいかもしれません。今は、技術的な理由や効率やコストの観点から中央集権的に自動車を作っていますが、モノづくりを通じたコミュニティを各地に作り、そこでできた乗り物が活躍すれば、地域が変わっていくのではないでしょうか。

 はじめに話題にした「GR」でも、お客さんとのコミュニケーションに軸足を置く店舗を各地に展開するようなので、その成果に期待したいですね。「GR」の根幹は、この店舗でのコミュニケーションの方にあると言ってもいいと思います。

──新たなモビリティの海外展開についてはどのように考えられていますか。

 東京オリンピックを控えていますから、海外からもいいねって思ってもらえる答えを用意しておきたいと考えています。

 移動したいとか、コミュニティを作って繋がりたいという気持ちは根源的な欲求なので、国を越えても同じだと思っています。選手村に僕が作った乗り物が走っているのを見て、「うちの街にもあの乗り物があったらいいよね!」って思ってもらえたらうれしいですね。

 こんな大きな理想でも、原点に立ち返って考えることで可能性が見えてくる。そうして生まれた乗り物を早く街に解き放って、変わっていく社会を見てみたいという気持ちがすごくあるんですよね。

(記事提供:Qreator Agent)