だが本コラムの読者なら、「国の借金1000兆円で財政危機だ」という財務省の主張は、政府の統合バランスシートから見れば、「脅し」で、たいした話でないことだと、と筆者が主張していることをご存じだろう。

 例えば、本コラム(『報道されなかったスティグリッツ教授「日本への提言」の中身』)をご覧いただきたい。

 つまり、日本銀行なども含めた政府の「子会社」を合わせた連結ベースの政府のバランスシートを見れば、負債と資産は見合っているので、ストックで見れば財政危機ではない。

 それではフローのPBから見ると、なぜ「財政危機」のように見えるのか。それは、PBを議論するときの基礎資料である内閣府の中期財政試算では、税外収入が除かれており、実際よりPB赤字が膨らむようになっているからだ。

 実際の収支でも、政府子会社に準備金でため込み、フローのPBを悪化しているように見せている。このカラクリを具体的に知りたい人は、本コラム(『「統合政府」で考えれば、政府の財政再建試算は3年早まる』)をご覧いただきたい。

 本来であれば、経済財政諮問会議は、そうしたカラクリにもメスを入れるべきである。

 筆者が小泉政権の時に経済諮問会議特命室で会議用の資料を作っていた時には、各省の特別会計の余剰金、つまり「埋蔵金」を暴露して脚光を浴びた。

 今の経済財政諮問会議は、そうした本質的な議論をせずに、財務省の言うことを鵜呑みにして、各省庁に歳出カットを言い渡す機関に成り下がっているようにしか見えない。

 もっと、マクロ経済の観点から国民目線で仕事をすべきだが、そうなっていないことが教育無償化議論で露見してしまった。

雇用のあとの次の課題
「3%賃上げ」不可能ではない

 雇用も総選挙では争点だった。

 安倍首相は、北朝鮮の脅威から国をどのように守るかを強調したが、雇用を守るということでは、今では若者がきちんとした雇用につけるなど、旧民主党政権時代と比べて状況が格段に改善したことを選挙で強調していた。

 雇用の確保が達成されれば、残る課題は賃金の上昇だ。