1ドル=115円突破となれば
大統領の「円安口先介入」も

 一方、日本市場では株高と同時に円安への期待も膨らみ始めている。

 だが米連邦準備制度理事会(RRB)が着々と利上げを続け、バランスシート縮小を始める一方で、日銀が従来の「異次元緩和」という超金融緩和策を変更する可能性は乏しく、先の総選挙で安倍政権への支持が確認されたこともあって、日本の金融政策に転換点が到来することはまず考えられない。

 となると、日米の金利格差の点では、円の対ドルレートは確かに一段と円安へ向かってもおかしくない力学が働いている。

 安倍政権は、物価目標が低迷している中で大規模な金融緩和を続けることに対しては、米国を含む世界各国が理解していると説明し続けてきたが、米欧ともに物価目標が未達の状況で正常化を目指し始めた以上、どこまでその理屈が通るのかは疑わしいところもある。

 日本株が上り調子になっているところに、「円安牽制」などで水を差されたくないだろうが、仮にドル円が115円を突破するような動きになれば、トランプ大統領の口先介入を避けて通るのは難しいかもしれない。

経済問題と北朝鮮問題は
コインの裏表

 日本政府は本来、トランプ大統領を向いて仕事するのではなく、国民生活を直視した経済政策を中期的な視点で設定するべきである。それが総選挙で勝利した与党の責任でもあろう。

 だが、9月の国連演説で「北朝鮮には対話でなく圧力で」と述べて、自ら対米従属以外の選択肢を捨ててしまった安倍首相が外交方針を軌道修正しない限り、日本経済はトランプ政権の「貿易赤字是正」との不当な圧力に押され、抵抗できないままに不必要な市場開放や為替レート水準訂正などに追い込まれるリスクに直面することも有り得る。

 日米関係において、北朝鮮問題と経済問題は実はコインの裏表なのだ。

 日本経済はいま、好調な外需に恵まれて「いざなぎ景気」を超える景気拡大の基調にあり、雇用環境や企業業績は絶好調と言ってもいい状態だ。日経平均の連騰は、決してバブルや幻想ではなく、民間企業の実力が評価されたものだ。

 安倍首相は、この好況感を潰すことなく長期政権を目指すことが、果たしてできるのだろうか。

(RPテック代表 倉都康行)