「ハイパフォーマー」に共通する「秘密」

「ハイパフォーマー」たちに何度もインタビューを重ねていくと、彼らは、自分なりの独特な基準を持っていて、その基準に合う仕事をうまく選別して引き受けている、ということがわかってきました。

 では、彼らは、会社にとっても自分にとってもチャンスとなる「いい仕事」をどのように選んでいるのでしょうか? それを調べていくと、時々、彼らからは聞きなれない奇妙な言葉が飛び出してきます。

「これはイケる!と感じるときは、特有の『ニオイ』がするんです」

「待ち望んでいたチャンスが近づいてくると、ヒタヒタとした『音』が聞こえてきます。その音がすると、キターッ!とうれしくなりやる気が湧いてきます。それはたいてい、うまくいくのです」

「そのプロジェクトの話を聞いた瞬間に、頭の中に『光』が見えました。これは成功するぞという予感は、その光のあとからくるようです」

 もちろん、彼らの言う「ニオイ」とか「チャンスが近づいてくる音」「光」は、実際の嗅覚・聴覚・視覚で認知できる匂い・音・光ではありません。あくまでも彼らが内面で感じているものを、比喩として表現しているものです。

 とはいえ、この独特なヒラメキに似た「感覚」が、彼らがチャンスを敏感に見分ける秘密であり、彼らの「勝ちぐせ」の理由だったのです。

 ちなみに、このヒラメキに似た「感覚」は、彼らが初めから持っていたものではありません。ある時期を境に、かすかに感じることができるようになり、それが何度か繰り返すうちに、確実に感じるようになったものです。

 その「感覚」を初めて感じたときの条件や業務状況を詳しく調べてみると、それは、ある「特定の条件」がそろった時に起こることがわかりました。ということは、その条件を意図的に用意することで、「チャンスを見分ける感覚」と「勝ちぐせ」を誰でも身につけることができるのではないでしょうか?