「おいしいコーヒーを淹れるだけでなく、ゆったりできる広めのソファ席を多く配置して、お客様にリラックスしてコーヒーと会話を楽しんでいただけるような店づくりを心掛けました」

 2年前にオープンしたカフェのオーナーの女性はこう語る。以前はテレビ局で忙しく働いていたが、自分の夢であるカフェを開くため30代前半で退職し、独学でコーヒーの淹れ方を習得した。

 夢は「お客様がくつろいで楽しめる空間を演出すること」だ。1分を争うほど多忙な生活から一転、「カフェで1杯のコーヒーを丁寧に淹れ、お客様1人ひとりの顔を見て話をすることが楽しい」と笑顔を見せる。何十種類もあるコーヒーやデザートのメニューを選ぶだけでも、友人や仲間との会話が弾みそうだ。

 このカフェで出会った客の一人は「中国はまだガヤガヤとした騒々しい場所が多いけれど、もっと静かに会話できる場所でゆっくりおしゃべりしたいんですよ。ホテルのラウンジも静かでいいのですが、いいホテルは限られていて、知人にバッタリ会う可能性もある。小さなカフェだと知人に会わないし、まるで隠れ家のようで楽しい気分になる。ボタンひとつで会話するウィーチャットだけでは味気ないし、深い会話はできない。ここなら友人と中身の濃い会話をすることができるので大事な存在なんです」と話していた。

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 日本では『中国人=「騒々しい」「うるさい」人々』とステレオタイプで語られることが多いが、洗練された人々は日本人が持つイメージとは異なり、静かな空間で友人との会話を楽しみたいと考え始めている。

 そうした層が増えてきたからこそ、彼らが求めるカフェ文化も花開いている。海外旅行の際に入ったカフェの外観や内装を参考にしたり、身近なカフェ先進国である日本で発売されている「コーヒー読本」を参考にしているオーナーも多い。