ドナルド・トランプ米大統領は、米連邦準備制度理事会(FRB)の次期議長にジェローム・パウエルFRB理事(64歳)を指名した。彼はこれまでジャネット・イエレンFRB議長の金融政策をFRB内部で支えてきた人物なので、政策の継続性という点で米金融街のウォール街は安堵している。
ただ、彼の対外的な発言はあまり注目されてこなかった。彼の講演は、金融規制や決済システム、金融イノベーションに関するものが多い。金融政策を語る際は、イエレン氏の説明から逸脱しない範囲の内容だった。そのため、地味な印象のパウエル氏だが、実はそうとも限らない面を幾つか持つ。
第一に、ここ数十年のFRB議長の中で彼は群を抜いた資産家だ。FRB幹部は、本人と配偶者が保有する金融資産の概略を公開しなければならない。合計資産額は正確には公表されず、推計となるが、米国の幾つかのメディアはパウエル夫妻の資産を5500万ドル程度(約63億円)と報じている。
ただし、米通信社ブルームバーグは、彼らが持つ株式インデックス投信は「100万ドル超」と申告されており、配当金から逆算するとそれは巨額で、合計資産は1億1200万ドル以上と推計している。同記事によると、過去のFRB議長における指名時の推計保有資産額は、イエレン氏が1460万ドル、バーナンキ氏は270万ドル、グリーンスパン氏は450万ドルだった。