本番では、いい空気をつくることに徹する

  私は講演する機会も多いが、講演に呼んでくださった主催者さんに、緊張が走る瞬間がある。それは講演中などに場がなかなか静まらないときだ。

 「隣の人と、気づきを1分間シェアしてください」

  その1分間が過ぎて、「それでは続きを……」と話し始めるのだけれど、どうにもこうにも場が静まらない。そういう時、主催者さんが「やべ~、どうしよう」という顔をされる。

  しかし、私はこういう状況になっても一向にかまわない。

  というより、「盛り上がってくれてありがた~い」といった心境になる。

  なので、場が静まるまで、まとめ的な話をしておくか、もしくは秘密の話をする。急に小さな声で話すのだ。

  そうすると、今までワイワイ楽しんでいた人も、その小声での話が知りたくて、瞬間的に注目が集まるのだ。

  このように集団をリードして場を仕切ったり、盛り上げたりすることも、人前で話すことの醍醐味と言えるかもしれない。

  自分の思い通りにいかないからといって、イライラしたり、焦ったりする必要はない。その場をいかに楽しむかが大事なのだ。

大成功のその日までにすることリスト

  以上、あがり症やスピーチ下手の人が、人前で話すのがラクになるための方法を、5回にわたり要点を絞ってお伝えしてきた。

  たくさんあるようだが、することはいたってシンプル。以下に本番までにすることを1~6としてまとめておく。

  1.まず、普段から不平不満や愚痴や言い訳を捨てて、日頃使う言葉をプラスに変えておくこと。そのうえで、セルフイメージを高める呪文を睡眠前後に唱える。
  2.成功している人の態度(表情、声のトーン、歩き方など)を真似たりして、セルフイメージを上げていく。
  3.積極的に行動を変化させ、講演やスピーチなど本番の日を決定する。
  4.本番の成功イメージの1枚絵を描き、睡眠前後にそれを喜びの感情で噛みしめながら見て、記憶の上書きをする。
  5.話す内容を想定して、紙1枚にキーワードや記号を使って原稿を作る。
  6.おそくとも本番前日には、紙1枚にまとめた原稿を見ながら、自分が舞台監督になったつもりでイメージリハーサルをする。その場の雰囲気を楽しみながら、当日のつもりでしゃべる。

 「絵を見ながら成功のイメージを喜びの感情とともにインプットする」などのトレーニングを、睡眠前後に5分ずつ行ったとしても1日10分。10日で100分。合計2時間にも満たない時間である。

  もちろん5分といわず、10分や20分。睡眠前後と言わず、瞑想して何度も行えば行うほど確実だ。