昼間、暇つぶしに図書館に行っていたら、ホームレス支援のチラシを見つけた。

 様々な資格が取得できるという制度だ。後藤さんは、その中から大型免許を選んで取らせてもらった。

「何とかプログラムとかいう国の方針です。そこで借りたお金は、返さなくてもいいらしいんですよ。でも、実際は、ホームレスじゃない人が、どんどん借りていました。いま振り返ると、僕も借りておけばよかったな、とか思って…」

 後藤さんが大型免許を取れたのも、国からの援助らしい。後藤さんは「それは、とても助かった。本当にありがたい」と思った。

 それまでの車上での生活から、自分で仕事を探し出して、その会社で寮生活を始めることもできた。

 時給は1000円弱。食事代も実費で支給される。

やはり電磁波が…
「引きこもり」という心性

「良かったんですけどね。ダメになっちゃいまして…」

 長続きしなかった理由は、「やはり電磁波的なものですかね」と、後藤さんはいう。そのことが原因で、人間関係もダメになった。

「元々、コミュニケーションが苦手で、なじみにくい性格だと思っている。ただ、30歳を超えてからは、だいぶ慣れてきたかなと思えるようにもなりました」

 会社での寮生活も、結局、仕事が長続きすることはなかった。いまは再び、引きこもりの生活を送っている。貯金も底をついてきた。

「眠れない。ぐっすり寝たい。休める場所が欲しい。精神的にも参っている。モヤシみたいな感じで、ちょっと何かあるとビビってしまうんです」

 家という環境があるから、引きこもるわけではない。元々、「引きこもり」の心性を持つ人たちは、ちょっとしたきっかけから、どんな環境の中でも引きこもってしまう。

「とにかく、何とかならないかな」と、後藤さんはいまも「居場所」を探し続けている。


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