事実、平成18年に開催された行政減量・効率化有識者会議においては、危機対応業務について、「何でもかんでも危機対応に含めないように危機対応の在り方も含めて、各機関の改革のプロセスをきっちりと評価・検証することが重要であり~」と危機対応の濫用に対する懸念が示されていたほどだ。

 そして、商工中金は将来的な完全民営化が予定されていると先にも述べたが、完全民営化後も危機対応業務を当然に担うこととされているにもかかわらず、「危機」を認定するたびに民営化は先延ばしにされた。直近の商工中金法の改正ではついに「当分の間」政府が株式を保有することが義務付けられ、完全民営化は事実上“風前の灯”となった。

 こうした一連の流れを見てみると、今回の危機対応業務を巡る不祥事は、完全民営化の方針を雲散霧消させるための“アリバイ工作”だったと考えることもできなくもない。

現段階で危機対応業務以外にも
複数の不祥事が明らかに

 加えて、商工中金の不祥事は、現段階で把握されているだけでも、危機対応業務に関するものだけにとどまらない。

 例えば、商工中金の取引先1000社を対象とした「中小企業月次景況観測」の調査に関し、実際に企業へのヒアリングを行わずに虚偽の調査票を自作してとりまとめていた、あるいは、ものづくり補助金の申請支援時に商工中金が発行する確認書を、内部の業績評価のために自作していた、といった不祥事が明らかになっている。

 一連の不祥事に関する調査は、あくまでも危機対応業務に関してのみ行われ、その過程の中で明らかになったものである。このため、今後さらに幅を広げて調査を進めれば、危機対応業務関連以外の不祥事が発覚する可能性は大いにある。

 こうしたことも踏まえると、完全民営化云々以前の、中小企業庁と馴れ合いで業務を進めてきた商工中金の「体質の問題」であるとも思われてならない。