日常会話レベルでは、子どものためにはならない
ここで「大人の英語力」と呼べるのは、CEFRのB2レベル、すなわち、「自分の専門分野の技術的な議論も含めて、抽象的な話題でも具体的な話題でも、複雑な文章の主要な話題を理解できる」水準です。つまり、ビジネスや学問の現場でも、自分の専門性を軸にコミュニケーションができる言語レベルです。
たしかに、難関大の入試「英語」も、語彙や文法知識だけを見れば、B2相当ですが、表現力が問われることはほとんどありません。その結果、日本の高卒者の半分以上は、A2レベルにすら届かない英語力だと言われています。
一方、中途半端なイマージョンで身につく英語力も、せいぜいA2レベルまで。これは言ってみれば、「英語をしゃべるだけならなんとかなる」という程度です。
ここで言うA2/B2の差は、言語学で言う生活言語能力(BICS: Basic Interpersonal Communication Skills)と学習言語能力(CALP: Cognitive/Academic Language Proficiency)の違いにほぼ対応しています。
保護者のみなさんには、日々の生活を送るために必要な語学力ではなく、世界をたくましく生き抜く幅広いスキルセットのことを考えていただきたいのです。
海外の友達をつくるだけならA2で十分ですが、外国語の力を武器に、将来にわたって仕事で活躍することを目指すのなら、はじめからB2水準を目標にするべきです。そのためには、英語で知的な作業に取り組むCLILのようなプロセスが不可欠です。