日米欧共に国債や財政に関する話題に注目が集まっている。

 まず欧州だが、ユーロ圏の国債の利回り格差が急激に拡大し、市場が動揺している。1月にスペイン、ポルトガル、ギリシャの国債が格下げされ、アイルランドはネガティブ・アウトルックになった。

 ルクセンブルクの中央銀行総裁は、仮にECBが量的緩和策を行なう際の最初のステップが国債の購入になる場合、どの国の国債を買ったらよいのか?という問題を投げかけている(「フィナンシャルタイムズ」1月26日付)。

 いっそのこと、ユーロ圏の政府が発行する国債を統合して単一の「ユーロ国債」を発行してはどうかという案も出た。しかし、これに対しては、ドイツの大蔵大臣が素早く反対を表明している。

 「ユーロ国債」は財政状態のよくない国の借金も含むため、発行金利は現行のドイツ国債よりも高くなることが予想される。ドイツ政府の年間の資金調達コストは30億ユーロ増加するという(前掲紙)。

 金融政策および通貨は加盟国間で単一でも、財政政策は個々の国の責任で行なわれるというユーロ圏の基本構造は、現在厳しい試練に直面しているといえる。