大阪市の橋下徹次期市長は12日、次期衆院選について問われ、「消費税総選挙とか言われているが、こんなのは対症療法。国のかたちを問う道州制選挙になる」、と述べたとの報道があった。

 橋下氏の話を、消費税ではなく道州制が選挙の争点になる、と単純に思った人は多いのではないだろうか。ところが、それは違う。今、野田政権が進めている「消費税の社会保障目的税化」は、道州制に反するということだ。

 分権国家を目指すとして、その鍵を握るのは、地方行政費用をどのようにまかなうかということである。民主主義の根本原理として「課税なくして代表なし」がある。これは税が政府のあり方で基本になっていることを示している。米国の政治学者・レイプハルトの研究でも、国全体の税収のうち、地方がどの程度を占めているかが決定的に重要である。

 ここで、問題になるのは、地方交付税や一括交付金のような資金使途にしばりのない中央から地方への配分金である。ニア・イズ・ベターが本格的に機能するためには、税率決定などの課税自主権をもつ税財源でなければいけない。このため、地方交付税や一括交付金は地方分権をみるときには、地方財政収入から除くべきである。

地方分権は中央省庁の
再々編と裏腹の関係

 そこで、国と地方がどのように行政を分担して、それに応じて必要な地方税源がどの程度必要なのかを考えよう。役割分担では、海外では「補完性原則」がある。平たくいえば、基礎的自治体(市)でやれることは基礎的自治体(市)ですべてやり、そこで拾えないものをその上の政府が行うという考え方だ。

 この補完性原則を人口規模1.2億人の日本に適用すると、基礎的自治体(市)-州-国という3層構造の道州制が自ずと出てくる。