経常利益35.3%増の謎

 すると、何が起きたか。

 前年比115%成長させなければならないと決めると、すべてがそこに向けて動き出します。

 目標を意識することによって、日々の決断のひとつひとつ、行動のひとつひとつが変化する。

 実際、近森産業は食品事業と学校制服販売事業が伸びて、売上5億4000万円、経常利益1700万円(2016年3月期)から、売上5億5700万円、経常利益2300万円(2017年3月期)になった。

 売上は3%増にとどまったものの、経常利益は35.3%も増やしている。

 常識では無理だった目標を軽々とクリアしました。もし白木社長が元公認会計士らしく厳密な数字にこだわっていたら、無難な計画しか立てられず、いまのような成長はなかったでしょう。

 数字はあくまでも道具です。
 自分の決断や行動にドライブがかかるなら、細かなところはテキトーでいい。

 本書は会計や財務の専門知識を紹介する本ではなく、社長と幹部が数字を使って自分自身や社員を変え、会社からお金が出ていかずに稼げる体質へと変えるための本です。

 会社をよくするのに、数字に関する高度な専門知識や分析は必要ありません。
最低限ココだけを見ていればいいという数字だけを理解して行動につなげれば、誰でも会社を強くできます。

 700社以上を診てくると、残念ながら、100人中99人が陥る「アリ地獄」があります。これは面白いほど共通しています。
 ぜひ、第1回連載にある、ひとつでも当てはまったら危ない!【あなたの「会社の危険度」10のチェックリスト】をチェックしながら、『数字は人格』を体細胞に植えつけていただけたらと思います。