ユーロは対米ドルで見ると、10月末の1.42ドルから約1カ月半、ほぼ一本調子で下落してきました。
その間、ユーロ/米ドルとこれまで相関関係のあった相場は何度か反発する場面があったにもかかわらず、ユーロは目立った反発もないまま続落してきたわけです。
EU(欧州連合)サミット後も、欧州債務問題への不信感が根強い状況が続いていますが、それとは別に、「反発なきユーロ下落」が、このまま続くかといった問題意識は1つあると思うので、それについて述べてみたいと思います。
ユーロ相場と原油相場の
相関関係は大きく崩れている
たとえば、ユーロとの相関関係がよく知られてきたものの1つに原油相場があります。
「資料1」は、WTI原油相場(※)とユーロ/米ドルを重ねたものですが、11月から12月にかけて原油価格が続伸した動きを尻目に、ユーロが一段安に向かったため、両者の相関関係は大きく崩れた形になっているのがわかるでしょう。
(※編集部注:「WTI(ウェスト・テキサス・インターメディエイト)」とは、アメリカ合衆国南部のテキサス州を中心に産出される原油。アメリカ国内で産出される原油の6%、世界で産出される原油の1~2%ほどを占める。原油相場の代表的な指標として知られている)
ユーロ相場とCDSの
相関関係にもかい離が!
次に、「資料2」をご覧ください。「資料1」と同じく、9月からのユーロ/米ドルと、今度は欧州の信用リスクを示す欧州CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)指数のグラフを重ねたものです。
「資料1」以上に、強い相関関係が長く続いてきたことがわかるでしょう。これを見ると、確かに、ユーロは欧州の信用リスクを反映した動きになっていたといえそうです。
ただ、欧州CDS指数が示す欧州の信用リスクには、11月下旬から12月上旬にかけて一時的に大きく改善する局面がありました。ちょうどあのEUサミット前のタイミングです。ただ、この時は欧州の信用リスク改善の割には、ユーロの反発は鈍かったわけです。
EUサミット後、欧州CDS指数も下落、つまり信用リスク悪化が再燃する形となっていますが、一方のユーロは目立った反発のないままに続落となっています。つまり、両者の相関関係はかい離した形が続いたようになっているわけです。
ユーロ売られ過ぎの修正で
反発の可能性も?
このように「反発なきユーロ安」を見てくると、ユーロが記録的な「売られ過ぎ」になっているのも、さらにしっくり理解できるのではないでしょうか。
「資料3」は、ユーロのポジションですが、記録的な売られ過ぎになっています。
目立った反発がないまま、ほとんど一本調子で売られてきたため、こういった結果になっているということでしょう。
このような「反発なきユーロ安」の持続性は、EUサミットを受けた欧州債務危機対策への評価とは別に、試され続けているものだと思います。
つまり、債務対策でプラス材料が仮に出なくても、ユーロが売られ過ぎの修正で反発する可能性は、やはりあり得るのではないかと私は思います。
ところで、なぜ、「資料3」のようにユーロは売られ過ぎになっているのに、さらに、ユーロ売りが続くのか。
その1つの答えは…
(記事の続きを読む)