写真:首相官邸HPより
まだ地方などでは実感できない方も多いとは思いますが、2期連続で2%を超える経済成長率を達成していることを考えると、今の日本の景気はかなり良くなってきていると判断できます。
それに対して、日本経済が長期的に達成可能な成長率を表す潜在成長率が1%弱であることを考えると、経済政策では構造改革を進めて経済の生産性を高めることが必要です。
しかし、これまでの経験から、足下の景気が良いときは政権の改革姿勢は後退しがちです。国政選挙に大勝した後についても同様です。今はまさにその2つが当てはまる状況だからでしょうか、安倍政権の改革姿勢には明確に黄色信号が灯ったと言わざるを得ません。その証拠として3つの点を指摘できます。
安倍政権の改革気運は後退?
改革より財政出動という姿勢
1つ目は、今月打ち出された政策の内容です。足下の景気が良い一方で潜在成長率が低い状況では、財政出動で足元の景気をさらに良くするよりも、構造改革を進めて潜在成長率を高めることを優先すべきです。
しかし、12月8日に発表された“生産性革命”“人づくり革命”の政策パッケージの内容を見ると、賃上げや投資を行った企業の法人税率の軽減といった生産性向上に資する政策もありますが、構造改革については、規制のサンドボックス制度の制度設計や電波制度の改革以外、目立ったものはありません。
その一方で、今の景気をさらに良くするのが最優先ではないのに、2兆円の補正予算という財政出動を行うことを決めました。デフレ脱却に財政の力も使うという意図があるのでしょうが、それでも大した改革がない中で財政出動だけはしっかり行うという姿勢には、疑問を感じざるを得ません。