「加計潰し」で安倍政権の改革姿勢が一層後退した深刻な影響“加計潰し”による支持率低下に怯え、経済政策における安倍政権の改革姿勢は一層後退してしまった。その影響は想像以上に大きそうだ

文科省側の忖度か、官邸の意向か
加計学園の判断は補選後まで先送り

 夏休みも終わって、安倍改造内閣も本格的に始動すべきタイミングなのに、逆に経済政策については政権の改革姿勢が、一層後退してしまったことを印象付けるような情報ばかりが入ってきます。

 第一に加計学園です。すでに報道されているように、加計学園の獣医学部の新設計画の可否を判断する文科省の大学設置審議会は、当初予定されていた8月中の認可の判断を保留して、2ヵ月後の10月末に改めて結論を出すことにしました。

 その理由は、学園が目指している生命科学などの分野を専門とする獣医師を養成する教育環境が整っていないなど、計画に修正すべき点があったので、学園に計画の修正案を提出させて改めて審査を行なうとのことです。

 しかし、当然ながらその理由は額面どおりには受け取れません。来年4月の開学が前提である以上、一刻も早く可否の判断が必要なはずですし、そもそも計画の修正にそう長い時間が必要とは思えないことを考えると、1ヵ月後ではなく2ヵ月後というのはいかにも中途半端です。

 そこから予想できるのは、おそらく加計学園獣医学部が開設される愛媛県今治市にエリア的に隣接する衆議院愛媛3区で、10月22日に補欠選挙が行われるので、その前に判断を下して選挙戦に悪影響が出ないよう、補欠選挙後まで判断を引き伸ばしたいのであろうということです。

 もちろん、それが文科省側の忖度によるものか、官邸の意向なのかはわかりません。しかし、どちらにせよ、52年間認められなかった獣医学部の新設という岩盤規制の改革の成果が出るのが、2ヵ月とはいえ遅れるのは間違いありません。かつ選挙の結果によっては、この岩盤規制を突破できないかもしれないのです。