プロフェッショナルは
臆病だからこそ挑戦できる

●2 臆病であれ

「臆病」と「勇敢」は正反対の言葉ではなく、“生きる”を構成する表裏の関係である。

 28巻で、「なぜあなたはそんなに強いのか」と少年に問われたゴルゴは「俺がうさぎ(ラビット)のように臆病だからだ」、「だが臆病のせいでこうして生きている」と答える。決して握手をしない、自分の背後に人を立たせない、など、さまざまなゴルゴの性癖も同じく、生きるための臆病さに由来する。

 プロの条件として「10%の才能と20%の努力……そして、30%の臆病さ…残る40%は…“運”だろう…な…」(66巻、以下カッコ内の数字は巻数)とも言う。

 ビジネスでも自分の居場所を安全だと思うこと、今の地位を安泰だと思う慢心こそ最大のリスクである。死の恐怖(ビジネスでの失敗)を肯定的に捉え、つねに臆病に、あらゆる事態を考え抜いて準備しているからこそ、果敢な挑戦が可能になるのだ。 

●3  自分のルールに従わせる

 仕事の遂行においては、相手が誰であっても自分の定めたルールに全面的に従うことを要求するが、それ以外のことにはいっさい関わらない。

 アメリカ国防総省の3トップに依頼を受けるべく窮地に陥れられても、「おれのルールを思い出すんだな」と、隠していた仕掛けを発動させ形勢を逆転させる(4)。

 チェチェン独立運動に際して、ロシア側から依頼を受けた際には、「依頼者の立場が……世に正当と思われているかどうか、は、俺が仕事を受ける条件に、入ってはいない」と言う。相手の立場や依頼内容が社会的にどういう評価を受けているかは関係ない(146)。

 ゴルゴにとっては、誰かの仕事の依頼を受けるかどうかにおいて、相手の社会的地位や身分、正当性も関係ない(一般社会においては、正当性は大事な要素であるが)。その関係は、「クライアント」と「仕事の受注者」という、点と点で接するものであり、べったりした面と面の関係ではない。仕事以外の人生や家族の問題には、立ち入らず、馴れ合いを排する。仕事以外のものを背負うと、仕事の判断に狂いが生じるからだ。また、つねに一流であるために、仕事以外の時間は自己研鑽に充てなくてはならず、余計なことに構う時間はないのだ。