日本の意思決定プロセスの硬直性(2):
国家戦略室の機能不全

 格付会社のもう1つの評価ポイントである「柔軟な組織整備」については、「国家戦略室」の機能不全が挙げられる。「国家戦略室」は民主党政権誕生時に設置された。そして、経済全般の運営の基本方針、財政運営の基本方針、税制及び予算編成の基本方針などの企画立案と総合調整などを行う「国家戦略局」に格上げするための法案が国会提出された。だが、国会審議は難航し、東日本大震災発生後に一旦撤回されてしまった。

 国家戦略局への格上げが棚上げとなった「国家戦略室」は、法的根拠がなく、少数のスタッフしかいない内閣官房の一室に留まっている。国家戦略室の機能不全は、野田内閣の政権運営に悪影響を及ぼしている。

 例えば、TPP交渉参加を巡って、党政調会を完全に反対派が支配する一方で、野田首相や賛成派は「なぜTPP参加が必要か?」を「理論武装」し、それを支持する「世論形成」ができていない。それは本来、「国家戦略室」を舞台として行うべきだが、形骸化して使えないのだ。結果、TPPに「参加すべき」「参加すべきではない」で国論をほぼ二分しているはずだが、反対派の声がはるかに大きく聞こえてくる(第22回を参照のこと)。

法改正なき組織再編成・
税調改革の中途半端

 但し、民主党政権が唯一、国会審議・法改正なく組織再編成を即座に実施し、一定の成果を上げてきたものがある。「政府税調」の再構成である(第21回を参照のこと)。だが、野田内閣誕生後、改革を逆流させる意思決定システムが導入された。党税調を復活させたことだ。