当たり前だが、普段の日常において、質問の回答は質問した人に向けて行われる。しかし、「質問箱」では、それがフォロワー全員に共有され、質問をしていない人まで、質問の回答を押し付けられてしまう。それがこのサービスの売りの一つではあるのだが、その売りが人々の反感を買ってしまっているのだから、皮肉なことだ。

有名人ぶって痛い、承認欲求の温床……

 ほかには、「有名人でもないのに、有名人ぶっているように見える」という意見もあった。確かに、「公(おおやけ)」に向かって質問に回答する様子は、雑誌のインタビューに答える有名人の姿と重なる部分がある。「他人からの興味を集めたい(質問してもらいたい)」という承認欲求の温床に「質問箱」がなっているという声もある。

 さらに、当たり前だが、SNS上の人気者に質問が集中する傾向があるため、質問に多く答えることで、自分の人気を周りに示すという効果も「質問箱」にはある。つまり、質問と同時に、やっかみや嫉妬も集めてしまうのがこのサービスの特徴なのだ。欲望と拒絶が交差するポイントを突いたからこそ、月2億PVものヒットになったとも言える。

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 質問箱の利用者の中には、悪口やセクハラまがいの質問が来て傷ついた、という人もいた。匿名で質問できるからこそのトラブルだが、その点に関しては、今後運営側が改善策を講じる可能性もある。なにせ、まだ始まったばかりのサービスである。

 さまざまな議論がありながらも、おそらくこれからもサービスは続いていくし、たとえ今の流行が去ったとしても、また忘れた頃に新しい質問サービスが登場することであろう。私たちは、匿名による質問サービスと、どのように付き合っていけばいいのか――。「質問箱」は私たちに対して、そう質問を投げかけているのかもしれない。

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(フリーライター 宮崎智之)