「保育園落ちた」の投稿が引き金
教育政策が“アキレス腱”に

 政府が「教育無償化」に前のめりになっていく最初のきっかけになったのは、恐らく、2016年2月に、はてな匿名ダイアリーに投稿された「保育園落ちた日本死ね!!!」というブログ記事だ。

 この記事は山尾志桜里議員(当時、民主党)によって衆議院予算委員会で取り上げられた。

 この記事のことを首相が知っているかという質問に対して、首相が承知していないと答えたため、同議員は、それを待機児童問題に対する安倍首相の“関心の低さ”と見なして攻撃した。

 このやり取りは、「働く母親の立場を代表する山尾氏vs働く女性の気持ちに鈍感な首相」、という構図を印象付けることには成功した。

 野党やマスコミ、ネット世論で安倍内閣が掲げる「女性が輝く社会」や少子化対策は単なるかけ声ではないのか、との論調が広がり、女性の内閣支持率は10%前後低下した。

 この問題がその年7月の参議院選挙に与えた影響は――TPP等他の争点もあったため――限定的だったが、12月に発表されたユーキャン新語・流行語大賞のトップ10に「日本死ね」が選ばれ、再び「待機児童問題」に関心が集まった。

 この直後に発表された民進党の次期総選挙向け公約原案では、幼稚園から大学までの授業料や、小中学校の給食費の免除、無利子奨学金の拡充など、「教育無償化」が盛り込まれた。日本維新の会も既に参議院選挙の時から教育無償化を掲げていた。

 政府・自民党は愛国心教育に力を入れる一方で、子育て支援、教育への投資に消極的ではないか、との印象が徐々に強まっていった。

 もう少し遡ると、2015年前半のピケティブームの際に、教育格差を通しての格差の世代間継承が改めて話題になった頃から、教育政策が自民党の“弱点”になり始めていたのかもしれない。

 さらに2017年2月に森友学園問題、5月に加計学園問題が浮上したことで、現政権の教育政策の杜撰さが余計に際立つことになった。

 前者では愛国心教育、後者では国家戦略特区制度を利用しての大学の規制改革がクローズアップされた。いずれも安倍政権が売りにしていたはずの政策だ。