ロンドン第3の金融街が
中国企業の拠点になる

 さかのぼること19世紀、大英帝国時代のロンドンには、世界最大級に繁栄した港湾があり、テムズ川沿いには水門を備えたドック群が建設された。

 このロイヤル・アルバート・ドックもその一つで、ビクトリア女王の夫であるアルバート公が資金を投じ、1880年に完成させたものだ。しかし、時代とともに貨物船は大型化し、旧来のドックはそれに対応できなくなり、1981年に閉鎖された。

 その後、30年間にわたり、ドックは世間から見放されていた。むしろ、財政難で投じる資金もなかったというのが本当のところだろう。ドックは過去の栄光を物語るだけの廃墟でしかなかったが、ウォーターフロントの再開発事業に目を付けた総部集団により、その廃墟が息を吹き返す。

 この再開発により、ロイヤル・アルバート・ドックは、ロンドン第3の金融街に生まれ変わるといわれている。金融街のシティ、新金融街のカナリー・ワーフに次ぐ新たなエリアは、ロンドン市東部の発展をけん引するものとして期待されているのだ。

 44万平方メートルの敷地には、商業エリア、住宅エリア、小売りエリア、見本市会場から成る複合施設が建設される。欧州進出を目指す中国や、アジア企業の欧州地域の統括拠点にする計画で、総部集団はこの再開発事業に17億ポンド(約2600億円)を投じた。

「アジアン・ビジネス・ポート(略称ABP)」と称するこのプロジェクトは、2019年に第1期が完成する予定であり、10年後には全体の完成を見込んでいる。駐英中国大使館によれば、これを「中英の『一帯一路』の重要プロジェクト」であり、「中英の黄金時代の象徴」と位置づけている。