早稲田大学の財務的な厚みでは、エール大学ほどのリスクは負担できないだろうと想像するが、基本的な運用の思想は参考になるのではなかろうか。

大学の運用では何に気を付けるべきか

 しかし、海外の大学に資産運用の成功例がある一方で、日本では特にリーマンショック後、それなりに巨額の運用損(数十億〜数百億円)を出して、これが広く報道された大学が複数あった。

 新聞記事にあるように「授業料や補助金が減少傾向で、大学経営は厳しさを増している。リスクを取って運用益を狙う運用に踏み出し、新たな収益源の確保を図る」という意図を実現するのは、そう簡単ではないと理解しておくべきだろう。

 では、大学のような組織の資金運用では、何に気を付けたら運用がうまくいくのだろうか。以下、大事なポイントを五つお伝えしておく。

(1)金融マンのアドバイスで運用しないこと
(2)多人数で運用状況を監視する体制を作ること
(3)負担できるリスクの大きさについて確認すること
(4)時価評価を小まめに行うこと
(5)余計な手数料を払わないこと

 最もつたないのは、1〜3人程度の資金運用担当者と、大学の幹部(学長、理事長、オーナー一族)などの少人数が資金運用を行っていて、彼らに食い込んだ金融マンの指南に基づいて資産運用を行うようなケースだ。

 金融マンは、大学に儲けさせることではなく、自分が所属する会社を儲けさせることが仕事であり、その成否が彼(彼女)の経済的報酬や人事評価を左右する。

 加えて、はっきり言って、数十億円、数百億円の基金を、対外的な説明責任を負えるような形で適切に運用できるようなスキルを持った人物は、学校法人の資金運用部門向けの営業を担当していないはずだ。

 金融マンは、それなりの嘘ではないが、自分を大きく見せるトークを身に着けている。自分は、海外の公的年金や、アラブの大金持ちなどの運用を任されていたなどと語るかもしれないが、せいぜい出入りさせてもらっていたレベルのセールスマンなので、こういう話に感心してはいけないし、彼らのアドバイスをありがたがるようではいけない。