消費税の増税を含む社会保障・税一体改革の素案が、6日に開催される政府・与党の社会保障改革本部で正式決定されようとしています。しかし、新聞などのメディアでは一体改革の問題点がしっかりと整理されていないように思えますので、改めて整理しておきたいと思います。
バラマキを続けながらの増税
今回の一体改革による消費税増税には、3つの大きな問題点があると思います。その最大の問題は、社会保障の赤字ばかりに世間の注目を集めて増税を正当化しようとしていることです。
政府の説明では、高齢者3経費(年金、介護、医療)の不足額が2011年度で10兆円であり、2015年度に13.4兆円に達することから、その穴埋めのためには消費税の5%増税(1%当たり2.7兆円×5)が必要と主張されています。
この数字だけを見るともっともらしいのですが、政府の予算全体を見ると、必ずしも説得的ではありません。政府の一般会計の予算額(2010年度までは補正予算を含む公式の決算額、2011年度は当初予算と補正予算の合計額、2012年度は当初予算に復興特別会計と年金国庫負担の交付国債を加えた額)の推移は以下のとおりです。
2006年度 81.4兆円
2007年度 81.8兆円
2008年度 84.7兆円
2009年度 101.0兆円
2010年度 95.3兆円
2011年度 107.5兆円
2012年度 96.7兆円
2009年度はリーマンショック、2011年度は東日本大震災という特殊要因がありましたので、予算額が大きく増えてやむを得ません。それらを除外して考えると、2006年度や2007年度は81兆円台で推移していた一般会計予算が、2010年度には95兆円台にまで膨張しています。