「施設ありき」から脱却

 この2009年頃の地域包括ケアのイメージは、5つの要素が花弁のように交わる図として示された。オリンピックの5大陸をイメージさせるので五輪図とも言われた(図2)。5つの要素は、「介護」、「医療」、「住まい」、「生活支援」、「予防」。その中身も具体的に示された。

 住まいでは「高齢者専用賃貸住宅(高専賃)と生活支援拠点の一体的整備」「高齢期になっても住み続けることのできるバリアフリーの高齢者住まいの整備」であり、医療は「24時間対応の在宅医療、訪問看護やリハビリの充実強化」、介護は「24時間対応の在宅サービスの強化」、生活支援では「見守り、配食、買い物など多様な生活支援サービスの確保や権利擁護サービスの推進」などだ。

 施設ありきの医療福祉の従来からの概念を脱ぎ捨てた。施設に代わって、高専賃(その後のサ高住)を「住まい」の主役として位置づける。その高専賃に引っ越した高齢者に対し、訪問診療と訪問看護を地域に広げ、在宅介護と併せて24時間サービスが可能な体制づくりを目指す。

 特別養護老人ホームや老人保健施設などの介護保険施設は、「介護」でもなく、まして「住まい」としても登場しない。「施設を一元化して最終的に住宅として位置づける」とあり、「施設は不要なので解体すべき」と主張している。

「施設こそ政策の主眼」「要介護高齢者の拠り所は介護施設」という長年培ってきた考え方を完全に捨て去った。介護保険制度の直前に議論された「施設一元化」からさらに踏み込んで、「住宅への転換」を鮮明に打ち出す。

 では、「在宅重視」を支える介護サービスとは何か。「24時間の在宅サービス」として、その後実現したのは「定期巡回随時対応型訪問介護看護」「(看護)小規模多機能型介護」である。