これらの発言を聞いて、私は、間違いなくこれが原因だと確信をしました。そして、A課長に次のように質問をしました。

「あなたと部下の関係はどのような関係ですか?」

 すると、A課長は「上司と部下です」と答えました。

上司だからといって
「偉そうにしたくない」態度は適切か

 そこで、私はさらに質問を重ねました。

「では、上司と部下の関係において、『やってもらう』『お願いする』『リクエストする』という表現は適切だと思いますか?」

「適切かどうかはわかりませんが、上司だからといって、私はあまり『偉そうにしたくない』んですよね」

「偉そうにしたくない」から部下に対して、「指示」をするのではなく、同じ人間として「お願い」したり「リクエスト」をする。そんな「偉そうにしない」上司の方が、いい上司だから人望も厚くなって、部下がついてくる。そして、結果的に部下も言うことを「聞いてくれる」ようになる。

 確かに、世の中、このような考え方が蔓延っているのは事実です。A課長も例外ではなく、「理想の課長像」を目指して、「偉そうにしない」ことを選択していたのです。しかし、結果的に、思うように部下は動いてくれず、組織は停滞し続けていたのでした。

 どこに問題があるのでしょうか。

 もう一度、「上司と部下」の関係に立ち戻って考えてみましょう。上司と部下の関係は、指揮命令者と実働者の関係です。部下は上司の指示を「聞かなければいけない」存在なのです。

 なぜ、部下は上司の指示を「聞かなければいけない」存在であるのか。