目先の低収益のみ込めるか

 つみたてNISAの対象商品は金融庁が「適格」と定める投信に限られ、多くの投信や株式から自ら投資先を選ぶ必要のあるNISAより、投資初心者でも比較的手を付けやすい。両制度は非課税の投資額も期間も異なるものの、併用はできない仕組みとなっている。

 もっとも金融機関の目線で見ると、最大の違いは収益上の“実入り”の差にある。つみたてNISAの対象は販売手数料ゼロで、金融機関への信託報酬も極めて低い投信のみであり、相当残高を積み上げないかぎりは採算が合わない。

 中小証券会社や地方銀行などでは、システム投資との兼ね合いで導入を見送ったり、販売対応が遅れたりするところも散見される。

 とはいえ「貯蓄から投資」の本格化には、森長官が1月15日に都内の講演で「これまでは国民の資産形成ではなく、金融機関の収益形成のための販売が行われてきた」と改めて批判したように、手数料の高い毎月分配型投信などを短期間で次々に回転させてきた悪癖から、中長期の資産形成定着へと脱皮すべきなのは論をまたない。

 金融庁も自ら“範”を示そうと、庁内職員が対象の「職場つみたてNISA」の募集を開始済み。この形が一般企業にも広がれば、つみたてNISA普及が大きく進むとの期待感もある。目先の低収益をのみ込んで業界側が本腰を入れられるかどうかが、その鍵を握るようにも映る。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 竹田幸平)