カルチャー:日本企業のイスラエル化が「肝」
最後に、日本企業にとって一番課題になるかもしれないのが、先にあげた2つのC「コミュニティ(Community)」「コミュニケーション(Communication)」を実現していく組織を作ることであろう。これを実現する妙手は、企業のトップ自らが現地に赴くことであろうか。
「現場100回」「百聞は一見に如かず」の言葉通り、企業のトップが現地に行くことによって、知識だけでなく、肌感覚で理解が進むことが何よりも大きい。組織を変えて、権限だけ与えても、無理難題が来た時に肝心のイスラエル「文化(Culture) 」を理解しておかないと、柔軟な対応は難しくなってしまうであろう。
コミュニティとコミュニケーションの問題は、組織が変わらないと変えられない。ただ、トップ自らが現地に赴いたことがあるか否かによって、企業のカルチャー(Culture)をどう変えるかに大きく影響する。イスラエルに合わせた文化でないと、イスラエルではままならない。このことを身をもって感じ取ったトップがいるかいないかは、ビジネスの成否を大きく左右するだろう。
本稿では、イスラエルビジネスの勘所を論じてきたが、有り体に言えば、「日本企業のイスラエル化」が、日本企業のイスラエルビジネス成功の勘所であろうか。
日本とイスラエルを取り巻く状況は、私がこの連載を始めた2012年頃とは大きく変わった。ただ、両国のビジネスは融合、深化していく潜在的可能性からしたら、100分の1にも達していないであろう。本連載が、皆様のイスラエルビジネスのヒントとなり、成功につながれば、幸いである。