第2に社会保障論。消費税を社会保障目的税とすることであるが、消費税を社会保障目的税にするのは、先進国ではまず例を見ない奇妙なものだ。

 社会保障はふつう保険方式で行われる。給付と負担の明確化のため財源を保険料とするのが原則なのだ。所得のない人向けに税財源を投入することはあっても、税を目的税化することはない。税を財源にすると、給付と負担の関係が明確でなくなり、サービス需要が大きくなる。

 経済学では財政錯覚(Fiscal Illusion)として知られるが、税財源だとサービス需要が大きくなって社会保障費が膨らむ。最近、特養ホーム(特別養護老人ホーム)で内部留保が2兆円にものぼったことが指摘されたが、税金投入が一因だろう。この論点からさらに詳しいことは、筆者の連載コラムの昨年1月27日「社会保障を人質に理屈なき消費税増税を狙う 消費税の社会保障目的税化は本当に正しいか」を参照していただきたい。

租税論、地方分権、
行革論からみた問題点

 第3に租税論。セオリーは、税率を引き上げる前に、不公平をなくすのが先決だ。そうでないと穴の空いたバケツで水をすくうことになり、しかも不公平をそのままにしておくと、税率の引き上げは税収確保がやりにくいばかりか不公平を増大させる。

 社会保険料といっても、法的性格は税と同じだ。払わなければ滞納処分になるのだが、年金機構(旧社保庁)の執行が甘い。

 税・保険料の不公平は、まず消えた保険料。国税庁と年金機構の把握法人数は、年金機構のほうが少なく国税庁と80万件もの差がある。これは保険料の徴収漏れになり、年間10兆円程度と推測できる。

 2番目に国民番号制度がないこと。そのために所得税などの正確な補足が出来ず、これも不公平だ。国民番号制度を導入すれば、5兆円程度増収になる可能性がある。3番目に消費税インボイスがないこと。そのため消費税も3兆円程度漏れがあるだろう。合計で18兆円程度の徴収の漏れかつ不公平がある。