お金、好きですか?

 当然ですよね(大声で「私はお金が好きだ」と言う人はいないかもしれないけれど)。 お金にまつわる様々なことを憎む人はいるでしょうが、お金が嫌いな人はいないでしょう。だって、十分なお金があれば、欲しいものの多くを手に入れられるのだから。

 でも、実際には、お金に苦労している人、騙された人、不幸に感じる人、お金に関わる様々なことが人間模様をつくり出しています。シェークスピアは「ベニスの商人」を書いたし、O・ヘンリーは「賢者の贈りもの」を著しました。が、もしもお金が十分にあったならば、これらの物語は成立しなかったでしょう。

 お金があれば、素敵なことが実現可能になります。

 それは、そのとおりです。が、あえて、お金は全てではない、と言いたくなります。お金の無い者の強がりかもしれません。でも、やはり、世の中、お金が全てという訳ではないでしょう。

 例えば、お金では買えない大切なものが幾つかあります。その一つが才能です。“才能に似た何か別のもの”は、十分なお金があれば得ることができるかもしれません。が、本物の才能はお金では買えません。

 そして、本物の才能は、お金がなくて現実の社会で苦労しても、いつか必ず自らの伸びる道を見つけ出すのです。

 と、いうわけで、今週の音盤はモーツァルトの交響曲第39番・変ホ長調・K543です(超お奨めは、ブルーノ・ワルター指揮コロンビア交響楽団〈写真〉です)。