終わらない実証実験

 2009年にブロックチェーン技術に基づくビットコインが登場し、すでに9年。ブロックチェーン技術はいまだ検証の途上で、現在も実証実験を続けている。

  メガバンクの独自電子マネー(仮想通貨ではない)も、三菱東京UFJ銀行(MUFGコイン)やみずほ銀行(みずほマネー)などと計画は進んでいるが、2~3月にいまさらながらのハッカソン(アイデアや成果を競い合うイベント)を開く段階だ。三井住友銀行については独自電子マネーの予定はない。

 方向として見えているのは、ブロックチェーン技術が使われる可能性があるのは、単純な1件の取引のシンプルな決済や記録くらいではないかといわれている。公的な登記や、1件だけの私募債の資金払い込みなどが考えられるが、多数・至急の取引には向かない。もちろん、今回の事件を受けてセキュリティの強化をすべきなのは言うまでもない。

 日本の当局としては、通貨として円を持っているだけに、仮想通貨を支援するつもりもないだろうが、公式な文書等では「ブロックチェーン技術の活用」という表現を取っている。フィンテックにはマスコミの注目も高く、銀行経営的にも株主対策として必要、ともいわれている。そのため株主総会の前には、そうした記事も増えてくるという。

 筆者はブロックチェーン技術や新しい技術を否定するわけではない。逆に進めるべきと考えている。しかし、技術には得意な点と、不得意な点があることを理解し、とにかく利用者保護を第一に考えて進めるべきだ。一般利用者は、自分で理解できるものだけに対応し、「煽り」には乗らないことが大事である。今回、実際にいくつも事件が起こることによって、ブロックチェーンの課題(欠点)がはっきりしてきたことは、社会的に見て意義があったといえるのではないか。

(博士[経済学] 宿輪純一)