最近、家電量販店などで、以前よりも韓国製品を目にする機会が増えたことに、気づいている人も多いだろう。かつては機能や信頼度において、日本製に遠く及ばなかった韓国製品に対して、今や消費者の「心の垣根」は低くなりつつある。「メイド・イン・コリア」が、家電やエンターテインメントなどの分野で台頭しているのは、すでに広く知られていること。ところが足もとでは、これまで気づかなかった分野においても、世界市場で上位に食い込むメジャー・ブランドが増えているのだ。グローバル市場の勢力図は、刻一刻と変化している。日本が狙う国内・海外市場で、韓国製品の存在感はどれほど増しているのか。改めてリサーチしてみると、まさに「韓流総進撃」とも言える躍進ぶりが浮かび上がってきた。(取材・文/友清 哲、協力/プレスラボ)

年末商戦の量販店で見た「テレビの異変」
不況下でじわりと台頭する韓国製家電

 家電売り場をはじめ、多くの店頭が活気づいた2011年の年末商戦から、はや1ヵ月。ここぞというタイミングで送り出される国産新製品に混じって、韓国製品がちらほら目を引くのも、今やさほど珍しい光景ではなくなった。

 サムスン電子やLG電子などのメーカーも、少し前まで日本国内における知名度はそれほど高くなかったように思える。しかし最近では、韓国製品が一般ユーザーにも浸透してきている。

 世界各国の市場で韓国製品の躍進が伝えられるようになって久しいが、改めて店頭をチェックしてみると、テレビ、冷蔵庫、洗濯機などは、確かに日本製よりもリーズナブルなのがわかる。とりわけ顕著なのは、薄型テレビだ。

 某大手量販店の価格で比較してみると、地上・BS・110度CSチューナー内蔵タイプの東芝製42型液晶テレビが11万円台で売られているのに対し、韓国・LGエレクトロニクス製のほぼ同スペック・42型は、10万円を割っている。

 細かな液晶解像度の精度などを比べれば、国産品に軍配が上がる製品も少なくないだろう。それでも、ユーザーの多くが価格を検討項目の最上位に置いているであろう不況の折に、この差は大きい。

 すでに世界のテレビ市場は、サムスン電子とLG電子がシェア1位と2位を牛耳っている。かつては、過当競争の日本市場から撤退した両社だが、LG電子は2010年に再参入を果たし、先頃サムスン電子も再参入を検討していることが報じられた。韓国勢は、今後日本市場でも、シェアを着実に伸ばしていくことが予想される。

 地デジ完全移行時に発生した駆け込み需要の反動などにより、日本製のテレビの出荷台数は、昨秋以降、前月を下回り続けている。その間隙を突くようにジワジワと市場で台頭し続けている韓国製品は、日本メーカーにとって不安要素の1つだ。