世界販売トップに
固執しなくなったトヨタ

 トヨタグループは、ダイハツと日野を加えての世界販売台数だが、かつての圧倒的な世界リーダーだった米GMを抜いてトップに立ったのが12年。以後4年連続で世界首位を確保したが、16年、17年と2位、そして3位の座に甘んじた。

 しかし、トヨタサイドからはこのところ、世界販売トップに固執するような声は聞かれなくなった。先の第3四半期決算発表でも今通期見通しで純利益が前期比31%増の2兆4000億円と、2期ぶりに過去最高を更新する。今通期(17年4月?18年3月)のグループ世界販売も過去最高の1030万台と従来予想の1025万台から上積みした。

 トヨタとしては、ここへきて自動車の競争軸は大きく変化していることをしっかり認識し「次の100年もモビリティ社会の主役を張れる保証はどこにもない」(豊田章男トヨタ社長)と危機感を強める。

 つまり、電動化や自動運転、コネクテッドカー、シェアリングなどの次世代技術を巡って、米グーグルやアップルなどのIT業界大手がライバルになると予想している。

 そのための原資を確保するためにコスト削減にも手を緩めない。世界のライバルと比較しても利益トップの座を守ることには力を入れている。世界販売ではVW、ルノー・日産・三菱自の後手を踏んだが、利益規模はVWが日本円換算で1兆5000億円程度であり、利益面ではトヨタが圧倒的なトップに立っている。

 また、立ち後れていると言われてきたEVへの取り組みも17年9月にマツダ、デンソーとの合弁EV基盤技術開発会社「EVシー・エー・スピリット」にダイハツ・日野とスバル・スズキも加わることになり「仲間づくり」が一気に広がっている。

 スズキとは20年以降にインドでEVでの協業を進めることになった。世界販売で3位となったのは、世界最大市場中国でVWや日産に遅れをとっていることが大きく、そこを電動化戦略を主体に巻き返しを図ることになる。

 他の先進技術へも多方面から積極投資と開発を進めていくことで、間口を広げたトヨタの戦略が功を奏すかが注目される。

(佃モビリティ総研代表 佃義夫)