余力残した伊藤忠
年度末に再逆転の可能性も

 だが、三井物産がこのまま通期業績で2位を奪還できるかは不透明だ。

 伊藤忠は第3四半期で大幅増益になった金属事業と食料事業の通期純利益見通しを合計230億円上方修正したものの、同額を「その他及び修正消去」のセグメントで調整することで、先述の通り、通期見通しを変更しなかった。

 しかし、伊藤忠の鉢村剛CFOは「(上方修正の開示基準となる)当初業績予想からの振れ幅が30%超にまで至っておらず、上振れする可能性もあるので、年度末に株主還元も含めて一括して判断したほうがいい」と語っている。今後、業績が上振れする余地は十分にある。

 さらに、三井物産が来期以降も2位争いをするためには課題もある。

 その一つが資源事業の依存度の高さだ。長らく「資源一本足打法」と言われてきた三井物産は、資源価格急落で赤字に転落したことの反省から、非資源事業を伸ばし、20年3月期の連結純利益に占める資源事業の比率を55%とする方針を打ち出した。だが、足元の資源事業(金属資源・エネルギー事業)の比率は70.1%。一方、伊藤忠は17.2%、三菱商事でも44.9%であり、三井物産の資源偏重ぶりが際立つ。

 また、第3四半期で金属資源事業は前年同期比1293億円の増益となったが、その中味を見ると、ブラジルの資源大手であるヴァーレへの出資形態を直接出資に変更したことに伴う評価益893億円という一過性の利益が大きく寄与している。それがなくなる来期以降は、再び伊藤忠との差が広がる可能性もある。三井物産が再び2位の座を“指定席”とするためには、同社が新たな成長分野に据えるリテールやヘルスケアなどの非資源事業の強化が欠かせない。

 いずれにせよ、まずは今年度末に向けて、業界2位を巡る両社の争いが熾烈化しそうだ。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 松本裕樹)