「変わることが当たり前」と考えられるか

 前例主義に陥りやすい経営者の共通点ははっきり言えば「実力がない」ということです。社長でも社員でも、実力がない人は前例を踏襲したがります。そのほうが無難だからです。

 それでも会社は当面はなんとか続くでしょうが、いずれダメになってしまいます。なぜなら会社を取り巻く環境は必ず変わるからです。変わることに耐えられ、変わることが普通というような社風を作らなければならないのですが、トップから「変わる」ということに抵抗がある場合には、社風が変わりようがありません。

 私は経営コンサルタントという仕事がら、多くの会社を見ていますが、実力のある経営者ほど変化をいとわず、前例にとらわれることなく、新たな挑戦を続けています。ある上場会社の優秀な経営者は、「前例主義に対して自分が一番の抵抗勢力」とまで言い切っています。

小宮一慶
小宮コンサルタンツ代表

 とはいえ、ぬるま湯の社風では、誰でも現状のままでいたくなります。そういう社風を作ってしまうと、変われるものも変われなくなります。そこで経営者は、「変わることが当たり前」と社員が考えるような社風や仕組み作りをすべきです。

 当社(小宮コンサルタンツ)は13人の小さな会社ですが、当社では、コンサルタントにはテレワークを導入しました。週1日は自宅で仕事をする日を作るようにしました。やり方が物理的に変わることで、社員は会社が変わったことを理解するし、通勤せず自宅で仕事をする日があれば社員にもメリットがあるでしょう。もちろん、パフォーマンスはきっちりチェックしています。言い出したのは私です。

「変わる」ことが当たり前の社風を作る。変わるための仕組み作りをする。それを実現できるのはトップしかいません。実力のない自分をごまかして前例主義で自己保身をしている場合ではありません。