「企業の方向づけ」を行うための
「正しい努力」のしかた
経営にとって最も重要なことは「企業の方向づけ」を誤らないことだと前回、大塚家具の事例を交えて説明しました。
「方向づけ」とは「何をやるか、やらないか」ということですが、どんなに優秀な人がたくさんいても、この方向づけを誤ると、企業は目も当てられない状況になります。そして、管理は部下に任せることもできますが、方向づけに関しては、最終的には経営者が自己の責任で判断するしかありません。
「方向づけを正しく行う」と言っても、これは言うのは簡単ですが、実際に行うのはそれほど簡単なことではありません。
「方向づけ」とは戦略と言い換えてもいいと思いますが、それを正しく行うためには、まず、(1)企業として目指すべき、あるいは企業の存在意義である「ビジョン」をベースに、(2)企業がコントロールできない「外部環境」、そして(3)企業の「内部環境」を分析することが必要です。
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その上で、自社の強みを活かし、他社との違いを明確に出せる市場を決め、製品やサービスを提供することを行わなければなりません。
その際に、「外部環境」の状況や変化を読み取ることがまず何よりも大切です。
「会社」という字は興味深いことに「社会」という字の反対です。どんなに大きな会社でも社会の流れに勝てる会社はありません。自社や自社が属する業界を取り巻く環境を、短期的、中長期的にも読み解いていかなければならないのです。もちろん、未来はだれにも分からないのですが、その分からない未来を、少しでも確率高く読み解く必要があるのです。
その能力を高めるのにとても有効な手段の一つは、新聞を読むことだと私は思っています。とくに、経営者として成功しようと思っている人は日本経済新聞を読むことをおすすめします。
もちろん、皆さんの中には、日経新聞を毎日お読みの方は多いと思います。しかし、それを「経営者的に」に読んでいる人は、残念ながら少ないと思っています。社会の流れを読み解くように読んでいないのです。