いい数字を聞きたいばかりに
部下の申告を鵜呑みにすると…

 たとえば、営業リーダーの場合、売上計画をクリアするには、まず部下である営業マン一人ひとりがどれだけノルマを達成できるかを吟味するはずだ。

 このとき、彼らの自己申告を鵜呑みにしていたら月末(決算時)になって真っ青になるだろう。したがって、一人ひとりの売上見込みを正確に弾くことは大切である。

「今月の売上はどれくらい見込めそうだ?」

「1000万円です」

「本当か?」

「はい」

「もう一度聞くぞ。それは本当か?」

「いえ……800くらいかもしれません」

「正直にいってみろ」

「すみません、700万円です」

 会社は、売上をガソリン代わりにして正しい舵取りができるのだ。途中でガス欠してしまえばエンスト(資金ショートで倒産)するしかない。

 もちろん、リーダーとしては景気のいい話を聞きたいはずである。売上見込みが増えれば増えるほど嬉しい。社長や部門長から厳しく追及されずに済む。しかし都合のいい数字をいくら積み上げたところで、しょせんは絵に描いた餅に過ぎない。

 ビジネスマンは、数字に関しては都合よく考えたがるものだ。しかし、これは判断ミスの元凶である。一寸先は闇。『易経』に「治にいて乱を忘れず」とある通りだ。

 リーダーというのは、常に最悪の事態を想定して対策を講じておくことが肝要だ。ヒューマンエラーは必ず起こる。ヒューマンエラーを防ごうと「もっと注意しろ」と怒鳴っても効果はない。

 きちんとしたシステムを構築し、人為的なミスや失敗をフォローする態勢をとらなければならない。これらのフォローシステムがきちんと機能するようにダブルチェック、トリプルチェックが必要なのである。

 最近は複数の人が独立して同じチェックをし、多数決で合否を決する「デュアルチェック」がはやっている。ダブルチェックだと2番目にチェックする人はどうしても前の人を信用していい加減になる。トリプルの3人目に至っては、ハンコを押すだけで終わることも多い。