北朝鮮の見え透いた
“微笑み外交”の裏

 今年に入って以降、ピョンチャン五輪を控えた中での北朝鮮の外交を見ていると、従来とは打って変わって、韓国に友好的なメッセージを発することが増えた。そのきっかけとなったのは、金正恩委員長の新年の辞だった。

 それまで韓国が目指す融和(対話)政策に聞く耳を貸さなかった北朝鮮が、突然、韓国への友好姿勢を示した。五輪開催後も、金書記長は南北の対話を一層進めるように関係各庁に指示を出している。

 こうした北朝鮮の外交政策の変節は、今回が初めてのことではない。これまでも北朝鮮は制裁などを受けて自国の状況が窮すると、韓国に近づき、緊張の緩和を狙おうとしてきた。

 見え透いた“微笑み外交”が今回も展開されている格好だ。

 韓国の文大統領は、北朝鮮との対話を重視するスタンスを示してきた。北朝鮮にとって、文大統領はくみしやすい相手なのだろう。文大統領は、自身が側近を務めた故盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領と同じように、北朝鮮との融和・中国との関係強化を図る姿勢を持ってきた。

 そうしたスタンスの人物が国のトップにある韓国を利用して、「対話こそが北朝鮮の暴走を抑える術である」と国際社会に伝える狙いが北朝鮮にある。融和を呼びかけて韓国を揺さぶり、米韓軍事演習を延期させることも、狙いの一つだったはずだ。

 年初には、中国が朝鮮半島での有事を想定した全軍規模での演習を実施した。それは、中朝の関係が従来よりも悪化していることを示している。今回、“微笑み外交”によって北朝鮮が融和姿勢を示せば、中国はそれを評価するだろう。