26年版・倒産危険度ランキング【危険水域408社】 過剰債務企業に迫る「最終審判」#6Photo:PIXTA

2025年の訪日外国人旅行者数は、11月までで過去最高を更新した。しかし、日中関係の緊張により中国からの団体ツアー客が激減するなど、足元では一本調子で伸びていたインバウンド需要に変化が現れている。特集『26年版・倒産危険度ランキング【危険水域408社】過剰債務企業に迫る「最終審判」』の#6では、旅行・ホテル企業の倒産危険度を検証。“危険水域”にランクインした7社の顔触れを明らかにする。(ダイヤモンド編集部 下本菜実)

婚礼数や法人需要の減少で
地方の老舗ホテルが倒産

 旅行・ホテル業界はインバウンドの活況に沸いている。日本政府観光局(JNTO)の発表によると2025年1~11月の累計は3906万人。24年の3687万人を早くも上回り、25年の訪日外国人旅行者数は過去最高を記録した。

 しかし、日中関係の緊張化で中国からの団体ツアー客が急減するなど、一つの事象で客足が乱高下する、インバウンド需要特有の市場の脆さも露呈した。

 さらに、最低賃金の上昇による人件費の高騰も、ホテル業界の経営が傾く引き金となっている。帝国データバンクによると、25年上期に倒産し、負債総額が1000万円以上の法的整理を行ったホテルや旅館は38件だった。件数は前年からほぼ横ばいであるものの、地方の老舗旅館の倒産が目立ってきている。

 帝国データバンクによると、熊本県熊本市の長命館は6月に破産手続きを開始した。負債額は約3億円。大正3年創業で2種類の異なる泉質の源泉を有していたが、新型コロナウイルス禍で減少した客足が戻らず、24年に営業を停止していた。

 また、茨城県日立市のホテル天地閣は、9月に破産手続きを開始した。JR日立駅から程近く、結婚式や宴会、会議などで利用された老舗旅館だった。婚礼数の減少や、コロナ禍をきっかけとした法人需要の減少で業績悪化に拍車が掛かった。

 これらの老舗旅館はインバウンドの取り込みで、業績を上向かせることはできなかった。では、同様の理由で経営危機に陥りそうな旅館やホテルはあるのだろうか。

 ダイヤモンド編集部が倒産危険度を検証したところ、大手旅行代理店のエイチ・アイ・エスが“危険水域”にあることが分かった。次のページでは、ランクインした7社の顔触れを紹介する。