クローズアップ商社Photo by Tomoka Ichikawa

ソフトウェア会社のアセンテックは2025年1月期の売上高が前年同期比134.3%増の145億円と、大きな伸びを見せた。事実、『総合商社vs専門商社vs卸「経営力」ランキング』において最も高い年平均売上高成長率をマークした。急成長の裏に何があったのか。連載『クローズアップ商社』の本稿で、同社の松浦崇社長に成長要因と今後の展望について明かしてもらった。(聞き手/ダイヤモンド編集部 猪股修平)

2年連続の売上高倍増は確実
中計目標を1年前倒しできた理由とは

――商社や卸業界の競合他社と比べ、売上の成長幅が大きいです。直近では2024年1月期の62億円が翌25年1月期に145億円まで伸びました。ここ数年の急成長の要因は何ですか。

 好調の要因を分析すると二つあります。一つはマーケットが好調で自社製品の売り上げが伸びたこと。もう一つは、デスクトップ環境を拡張する仮想デスクトップソフトウェアの事業領域が好調だったことです。

 今年の自社製品の売り上げは、前年比で倍のペースで推移しています。地方自治体のデジタルトランスフォーメーション(DX)において仮想デスクトップが活用されているため、需要はしばらく続くでしょう。

――自社製品のメンテナンスもストックビジネスになっていますね。

 はい。持続的な収益につながっていくと見立てています。

――中期経営計画の進捗状況と2027年度以降の数値目標は。

 中計最終年度である27年1月期の売上高と経常利益を、実は26年1月期に1年前倒しで達成する見込みです。もう一度中計を修正するか、新中計を前倒しで作成するかをまさに今検討しているところです。

 今の成長を今後も維持したい。それをどう実現するかの考えは、大きく三つあります。

中計を凌駕する驚異的な成長を見せたアセンテックは、この先の成長をどのように描いていくのか。次ページでは、松浦社長が手堅い戦略を明かす。