なぜ神奈川県は1割の学校しか
甲子園に出場できないのか?

 この数字の受け取り方は、住んでいる地域によってかなり違うはずだ。

 例えば、47都道府県の中で地方大会に出場する学校数が一番多い超激戦区の神奈川県は189校が参加し、このうち甲子園に出たことがあるのはわずか19校(県全体の比率は10.1%)。

 横浜高・東海大相模高・桐蔭学園高・桐光学園高など全国に知られた強豪校がこの1枠を巡って争っているため、夏の甲子園に無名の高校が出場するのは非常に難しい。さらに選抜の21世紀枠でも、同県は私立強豪校を県代表として推すことが多く、まだ一度も関東・東京地区の代表にすら選ばれたことがない。

 従って、新たな学校が甲子園に出場することは難しく、ここ15年間で新たに甲子園の土を踏むことができたのは横浜隼人高(2009年に出場)1校のみ。

 昨年、パ・リーグの首位打者を獲得した秋山翔吾(西武)など、近年プロに多くのOBを送り込んでいる横浜創学館高(旧・横浜商工高、2003年4月より現校名に)ですら、甲子園には出場したことがない。同県民としては、全国平均で4校に1校以上が甲子園に出場しているというのは想像を絶する数である。

 東京でも東西合わせて262校が参加しているが、このうち甲子園に出たことがあるのは36校にすぎず、13.7%と低い。他の県を見ても、千葉県が14.3%、愛知県が15.4%、埼玉県が17.3%と概して参加校の多い都市部では低い比率となっている。これらの地域では、甲子園に出場できるのは、ごく一部の野球に力を入れている特別な学校だけに近い。

 一方、全国最少の25校しか参加していない鳥取県では13校が甲子園に出場、その比率は52.0%にのぼる。参加校が全国一少ないにもかかわらず、秋季大会では3~4校が中国地区大会に進めるなど、甲子園には出場しやすい状況となっていることも大きい。

 隣の島根県でも参加39校うち21校が甲子園に出場したことがあり、その比率は53.8%と全国一。この他、山口県と宮崎県でも予選参加校の過半数が甲子園に出たことがある。これらの県では、むしろ甲子園出場経験のない学校の方が少ないのだ。

 全国各地の出身者がいる集団、例えば会社や大学などでは、女子校出身者などを除き、4人に1人以上が「母校が甲子園に出たことがある」人たちであるというのは驚きである。

(姓氏研究家、野球史研究家 森岡 浩)